これまでの歩み

2013.03.21 春のせとうち、島巡り。

いろいろなツアーに同行して作品を見て回っている。今日は犬島、女木島、沙弥島。

家プロジェクトでは淺井裕介さんと荒神明香さんが厳しい空間を工夫してうまく使っている。名和晃平さんは混沌たる世界からの生命の誕生のエネルギーを見事に表した。ジュン・グエン=ハツシバさんの映像「石切場のベースボール」はプロ顔負けの投手と打者が愉快だし意味深長で楽しめる。古い家の部材を使った屋根の組み方、3年前に比べて今年のアクリル接合技術の向上を見るのも楽しかった。

女木島では大竹伸朗さんの「女根」を。学校の校舎の外の狭い空間での展開だが、作家独特の「ものコレクション」の面白さ、作品の集中度は素晴らしい。ちょっとあやしいところは、未成年者お断りの小中学校、といったところ。

食堂「イアラ」を併設したレアンドロ・エルリッヒさんの「不在の存在」、行武治美さんの「均衡」は、作品の完成度が高く、いつ見ても気持ちがよい。

杉浦康益さんの「段々の風」は、神社の上の、かつて段々畑だったところに展示されている。ちょっとした平場に約400個もの焼き物のブロックを積み上げた、いわば風のスクリーンのようなもので、ここから透けて見える瀬戸内海は格別に美しい。おすすめの場所だ。

沙弥ではEAT & ART TAROさんの千年スープをいただいた。1000年前からあった食材を使ってのスープだが、おいしかった。

朝7時のこえび隊の出陣式に出て、島を巡り、夜は8時半からの毎日の反省・検討会をやって、個々の問題に対応する。これがディレクターの仕事、春会期後と夏会期への準備も始まった。

春の瀬戸内の海はたしかにのどかで、花が咲き、ゆったりとした明るさのなかにある。

「春の海、ひねもすのたりのたりかな」(与謝蕪村)

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