これまでの歩み

2016.08.28 北川総合ディレクター ブログNo.11~瀬戸内国際芸術祭2016

昨日は気持ちの良い1日だった。小豆島のサン・オリーブでは、京都で開かれる世界考古学学会のプレシンポジウムが開催された。基調講演はロンドン大学のティム・ウィリアムズ博士が文化財保存について述べるのだが、それはストーンヘンジのようなものではなく、伝統的街並みや農村歌舞伎舞台や醤油、そうめん、丁場などを含めたものであり、それらソフトの意味をジャッジするのは人々の将来に向けた展望だという趣旨には納得した。そのあとに私がスピーチをしたのだが、塩田小豆島町長の主催者挨拶での芸術祭や芸術を軸にした将来構想を含めて、世界レベルの考古学と同じく世界レベルの現代美術が同じところを目指し、瀬戸内海・小豆島で出会うという時代になったのだという感動を新たにしたと述べた。

土庄港に向かう途中で「瀬戸内『食』のフラム塾」から立ち上がった河端直之さんを中心とした「せとうちのずかん」に寄って「夏の元気の素・生搾り長命草と白ブドウのジュース」を飲んだ。旨い。マクワウリ・ナシ・レモン・アスパラなど材料は地元産なので、それもそのはず。ぜひ、お立ち寄りください。

直島のベネッセハウスでは、岡田利規さん演出による森山未来さんの「in a silent way」。これは凄かった。足の指ひとつひとつが異なった違う動きをする。指はとても肉厚で、まさに身体のパフォーマンスのひとつの極地だと思った。私の世代から言えば、昔、唐十郎さんや鈴木忠志さんが目的とした、麿赤児や白石加代子に代表される「演劇は肉体だ」の新しい姿、報告を目の当たりにした感じだった。満員札止めだが一見二見の価値がある。

その後は、高松港に帰ってきて、夕方から巻上公一さんのワークショップ、BankARTチーム「続・朝鮮通信使」のサンドラムの演舞を観て、夜はやなぎみわさん構想・演出・美術による中上健次の「日輪の翼」。これは今晩しかありませんが、皆さんいらしてください。(17:30から特設会場で当日券発売)中上健次が熊野の底辺の路地から覗く現代日本を、老婆が唄う御詠歌、さらにロック、美しい肉体のサーカス等、いりみだれてのカーニバル世界が高松港のトレーラー舞台で現出される。音楽全体を巻上公一さんがやっているので素晴らしいのだが、特にパーカッションのSAROさんがタップで踊るところは圧巻。

栗林公園の「讃岐の晩餐会」の指輪ホテル、小豆島の劇団ままごとによる「きもだめスイッチ」、宇野港の山本哲也作品でのイベント「メゾンENERGY 交換」も楽しく、お客様の評判もよく好調だとのこと。思わず笑みがこぼれるが、夏会期もあと10日、台風もきそうで要注意だけれども、ぜひいろいろとぞれぞれの近い場所に行って楽しんで欲しい。秋会期の小豆島のDRUM TAO、犬島の小林武史さんによる「円都空間」のチケットも発売が始まった。

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